2025年08月13日 永代供養とは
少子高齢化や核家族化が進む現代において、「お墓を継ぐ人がいない」「将来の供養が不安」といった悩みを抱える方は少なくありません。そうした中で注目されているのが永代供養という仕組みです。
永代供養と一口に言っても、「永代供養」「永代供養付き」「永代供養墓」はそれぞれ異なる意味を持ちます。これらの違いを理解することは、後悔のない選択をする上で非常に重要です。ここでは、それぞれの詳細と選び方のポイントを深掘りして解説します。
永代供養とは?
永代供養とは、寺院や霊園が遺族に代わって、契約で定めた期間、故人の遺骨の管理と供養を行ってくれるサービス全般を指す言葉です。
勘違いされやすい点として、「永代」という言葉が永久を意味するわけではありません。一般的に契約期間は33年(回忌)など区切りの良い年数が設定されており、その期間を過ぎると他の遺骨とまとめて埋葬される合祀(ごうし)が行われる=永代供養のための改葬などされるのが一般的です。
メリットとデメリット
メリット:
後継者不要: お墓を継ぐ人がいなくても無縁墓になる心配がありません。
管理負担の軽減: 寺院や霊園が供養や清掃を行うため、遺族の管理負担がなくなります。
経済的な負担軽減: 初回に一括で支払うことが多く、年間の管理料が不要な場合がほとんどです。
デメリット:
契約内容の確認が必要: 永代供養の期間や具体的な供養方法(お盆やお彼岸の合同法要の有無など)は施設ごとに異なります。後悔しないためにも、契約前に細部まで確認することが不可欠です。
宗旨・宗派の制約: 寺院によっては、特定の宗旨・宗派に限定されることがあります。
合祀後の遺骨: 合祀されると、遺骨を個別に取り出すことはできなくなります。将来的に別の場所に改葬したり、分骨したりする可能性を考慮する場合は注意が必要です。
永代供養墓にはどんなものがあるか
永代供養付墓
正確には永代供養墓へ将来的に改葬されるサービスの付いた一般墓などを指します。
基本一般墓ですが夫婦(二人)用・家族(四人)用などもあり、形も一般墓と同様のものだけでなく永代用に特化したものなど様々です。これらは承継者がいなくなると管理者の方で合葬墓に合祀し霊園など管理者が後の供養をしてくれるサービスがついており、少子化・未婚人口の増加などから需要が高まっています。
樹木葬
従来の墓石という考えに囚われず、自然葬といった枠組みの中でも樹木を墓標とすることで特に人気が高まっているお墓です。多くの場合シンボルとなる樹木がありその樹木の下に埋葬します。
近年は一人用・夫婦(二人)用から3~4人分の遺骨が入る家族向けといったものも考案・発売されており、お好みやご家族の事情により選ぶことも可能です。
樹木葬でも霊園により永代供養墓・永代供養合葬墓・永代供養付と分かれます。ご家族毎・個別などをご希望であれば事前によく聞き取りを行った方が良いでしょう。
樹木葬の例『絆』『樹木葬オリーブ』
永代供養墓
基本は石のお墓ですが、永代供養付と違い永代供養を前提とした合葬式墓または2~4若しくは6体(霊園・墓地の仕様などに依ります)ほどの遺骨の入る小さなお墓です。永代供養付と判りにくいのですが、このタイプは永年使用となるので「永年使用料」などそのための科目などが最後の承継者がお墓に入り承継者不在となった後は、管理者で供養をしてくれます。収納可能数だけでなく、カロートを作って簡易な墓標の下(地中)に埋葬するものや屋外・屋内に納骨堂同様のものを造りそこに埋葬するものなど多種・多様にあります。
永代供養墓の例『結』
永代供養合葬墓
合祀をするお墓/埋葬施設に他の方と一緒に埋葬するもので、合同の墓誌に名前(戒名)を刻むことのできるものもあります。費用も他のお墓と比べると格安と言えるのでご家族の事情により利用されることが増えています。
また既に一般墓をお持ちのご家族で承継者問題等によりこの永代供養合葬墓に改葬するご家族も増えています。
永代供養合葬墓の例『祈りの碑』
永代供養墓/永代供養付きお墓のメリット・デメリット
永代供養について永代供養は基本無縁仏を無くす・承継者不在となったお墓・ご遺骨の管理・供養をある種商業的に行うといったものです。宗旨・宗派などによる制限がなく、もちろん檀家になるなどの必要もありません。
将来的にお墓の承継が難しくなるというご家族には先ず検討いただきたい事柄で、ご遺骨の管理・供養を永年行ってもらえるのは大きなメリットです。一般墓の永代使用料と比べると割安なものが多いのでお墓にかかる費用が下がるという点も見逃せません。
予めお墓について決まり事があるので、承継されたお子様等に余計な心配や悩みを持たせることもなくなり心情的な負担も軽減できます。
次にデメリットですが、合葬となるタイプを選んだ場合ご本人はもちろん、お子様や親類縁者の方がお参りするお墓が合葬墓ということへ抵抗感・違和感を持つケースが少なくないことです。個別に埋葬できる永代供養墓を扱う霊園もありますが、個別埋葬である分費用が割高になります。
また一度埋葬・合祀してしまうと改葬できないものが少なくなく、改葬して合祀をしたはいいが引越しにより墓地が遠くなりお参りに行ける機会が減ってしまったといったこともあります。
何より無縁仏の心配がなくなるという永代供養ですが、デメリットもありますのでご家族だけでなく親類・縁者にもよく相談をしたうえで検討することをお奨めします。
永代供養墓が合う方
- 宗教・信仰心などが強くなく、檀家などこれまでのお墓のシステムに拘らない方・ご家族
- 例えば葬儀でも宗教者に依らないかたちのものが増えていますが、檀家料などの経費を抑えることにも繋がります。
- 従来からのお墓に特に拘らない方
- 従来からの家系を基準としたお墓でなければお墓の選択肢も広がります。
- 遠くにあるお墓の墓じまいをしたい方
- 居住地とお墓が離れていると管理が大変で墓参もままなりません。墓じまいをして、居住地近隣の永代墓へ改葬すれば先々も安心です。
永代供養墓が合わない方
- 家系としてのお墓やお墓のある土地に執着のある方
- 家格を重んじる家柄や土着の家系の方などには、(個別の永代供養墓もありますが)合祀されることになる永代供養は不向きです。
- 親族・縁者に反対する人がいる方
家格を重んじる親戚・縁者がいらっしゃる場合は合祀となる永代供養に反対されることもあります。永代供養にするのを見送るのが無難ですが、承継者・墓守をどうするかということを親族・縁者の方たちとよく話し合うことも必要です。